プロフィール
冨士佳弘(Yoshihiro Fuji, PT)
- 2014年~大阪大学大学院医学系研究科修士課程(公衆衛生学)
- 2006年~大阪府立急性期・総合医療センター勤務
- 2006年行岡リハビリテーション専門学校卒業
- 2000年関西学院大学法学部法律学科 卒業
はじめに
Medi Legato第4回のコラムは、理学療法士(PT:Physical Therapist)の冨士佳弘さんのご登壇です。冨士さんは大阪府立急性期・総合医療センターで理学療法業務に携わると共に、大阪大学大学院医学系研究科 公衆衛生学教室で、医療とリハビリテーションの研究にも取り組まれています。
さまざまな手術の後や脳卒中・循環器疾患を呈した人々への運動療法、疾病や怪我の予防・健康管理のサポートなど、昨今PTが求められる役割はますます拡がってきています。急性期・回復期の医療現場の最前線で、PTとして活躍されている冨士さんに、リハビリテーションにかける想いと目指す姿についてお話を伺いました。
2015年11月 Medi Legato 代表取締役 CEO 廣瀬園子
インタビュー
-理学療法士(PT)をめざした理由を教えてください。
大学時代、病院の当直のアルバイトを経験し、一対一で患者さんのケアができる医療職に魅力を感じました。PTは自分の手で患者さんに触れ、在宅や社会復帰のサポートをすることができます。大学を卒業してから、遠回りをしましたが、どうしても医療職につきたいという思いを捨て切れなかったために思い切って理学療法士の専門学校に入学し、国家資格を取得するに至りました。
-現在の業務の内容を教えてください。
医師の指示のもと、患者さんに対する理学療法(座る、立つ、歩くなどに必要な訓練)を行っています。
担当している患者さんは、外傷や脳卒中、循環器疾患、廃用症候群を呈された方であり、毎日最大1時間のリハビリを行ないます。私が勤務している大阪府立急性期・総合医療センターのリハビリテーション室には現在31人のPTが在籍しており、多くの患者さんに対して自立した生活を取り戻すためのリハビリを提供しています。
-大阪大学大学院への進学理由と研究テーマを教えてください。
2011年の東日本大震災でDMAT(Disaster Medical Assistance Team)の一員として活動し、その後、大阪府の医療班として岩手県大槌町の避難所にて運動介入を行ないました。
災害後の住民は、慣れない環境下で生活を送ることや多大なストレスにより、知らないうちに運動量が少なくなります。また、災害前にリハビリを受けていた人々には継続的なフォローが欠かせません。動く事がほとんど無い状態が続くと、筋力は1週間で約1割低下すると言われています。保健師の方が仮設住宅を1軒1軒訪問して住民の健康状態を確認している様子を見て、Public Healthに興味を持ち、大学院での研究を決めました。現在の研究テーマは、「仮設住宅生活者に対する低活動改善に向けた取り組み」です。
-PTとして、ご自身はどのようなことを大切にしていますか。
私が思い描く理想のPTとは、リハビリテーションが必要な患者さんに対する幅広い医療の知識を有し、その上で卓越した専門性を身に着けていることであると考えます。
患者さんの為になることを常に考え、ニーズを聞きとり、目標設定をし、体調や身体能力に応じたリハビリを展開していくことが必要な為、コミュニケーション能力も重要となります。
患者さんが退院後の外来診察時に、「ここまで良くなった。ありがとう」とリハビリ室を覗いてくださることがあります。この瞬間は、何度経験しても感動で鳥肌が立ち、「この仕事をしていて良かった」とやりがいを感じています。
-患者さんへのリクエストがあればぜひお聞かせください。
「私達にリハビリをしてもらって良くなる」という完全な受け身ではなく、
「私達と二人三脚で良くなる」ことを目指して頂きたいと思います。
私達PTが患者さんに関わることができるのは1日24時間のうち、せいぜい1時間程です。そのため、リハビリ以外の時間の過ごし方が重要となります。
これからも患者さんとそのご家族に「この先生で良かったな」と思って頂けるように、医療技術の向上だけでなく、人間的にも成長していきたいと思います。
(勤務先)
地方独立行政法人 大阪府立病院機構
大阪府立急性期・総合医療センター
Webサイト:http://www.gh.opho.jp/
- 所在地)大阪市住吉区万代東3丁目1番56号
- 病床数)768床
- 病院の特長)
日本医療機能評価機構認定病院
地域がん診療連携拠点病院
地域医療支援病院
地域周産期母子医療センター
難病医療拠点病院
障がい者医療
日本臓器移植ネットワーク特定移植検査センター
卒後臨床研修評価機構認定病院
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