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Vol.5 「看護師教育における持続的な国際協力」ベトナム国立バクマイ看護学校にて

国立バクマイ病院 医師 Dr.Le Ba Thuc(2016年3月)

プロフィール

Dr.Le Ba Thuc

Le Ba Thuc, MD, PhD
Former Vice Principal, Bach Mai School of Nursing. Ha Noi, Vietnam
Gregory Crow, Ed.D., R.N.
University of San Francisco School of Nursing and Health Professions
San Francisco, California
Robert Geibert, Ed.D., R.N.
Kaiser Permanente, San Rafael, California

はじめに

今回のMedi Legatoのコラムは、ベトナム・ハノイにある国立バクマイ看護学校の前・副校長で、国立バクマイ病院の医師Dr.Le Ba Thuc のご登壇です。バクマイ病院では、ベトナム保健省直轄の拠点病院として、JICAをはじめとする日本のODAの医療支援も継続的に行われてきました。
Dr.Thucはベトナムの看護教育に中心的な役割を果たし、特に看護師と看護学生の専門性を高めるトレーニングに、長年にわたり熱心に取り組んでこられました。
Medi Legatoとバクマイ看護学校が共催した2012年の日・ASEAN友好40周年記念医療交流プログラムにおいても、ベトナムの看護教育をテーマに講演をいただき、 200名を超えるご参加者のもと、プロジェクトを成功に導いてくださいました。
コラムでは、Dr.Thucと米国の医師、看護師の共働による継続的な看護教育プログラムについてご紹介頂いています。皆様の温かいご支援に感謝いたします。

廣瀬 園子

2005 年、ベトナムの看護学校に看護師の能力向上に努めるようにとの指令がベトナム保健省と教育訓練省により出されました。
目的はこれらの学校がアジア地域および国際看護教育の基準を満たすためでした。

私(Dr. Thuc)は、サンフランシスコ大学のDr. Crow とカイザーパーマネンテ・サンラファエル病院のDr. Geibert が2005 年にベトナムを訪問している際に彼らと会い、ベトナムの看護教育についてより理解してもらう為、彼らにバクマイ看護学校に来て頂くようお願いしました。

私との約束通りDr. Crow とDr. Geibert は看護学校とバクマイ病院を訪問してくれました。彼らは学部の指導法、授業環境(図1)、図書館そして実験研究室を見学しました。そこでのカリキュラムが当時、非常に時代遅れで、地域および国際看護教育の基準を満たしていないことについて私達は議論を行ないました。

図1. バクマイ看護学校の教員が生徒に講義をしている様子
図1. バクマイ看護学校の教員が生徒に講義をしている様子

私(Dr. Thuc)とDr. Crow はCrow とGeibert が米国に戻った後の数カ月間話し合いを続けました。話し合いの結果、Dr. Crow はボランティアでバクマイ看護学校のカリキュラム開発を手伝うことになりました。

2006 年、Dr.Crow はサンフランシスコ大学看護保健学部から、他教授、院生と共にバクマイ看護学校を再び訪れ、両教授および学生たちでそのカリキュラム開発の仕事を行いました。

米国に帰国した後、Dr.Crow はサンフランシスコ大学看護学部の学部長と会い、バクマイ看護学校の発展に貢献する目的で、ベトナムナースプロジェクトに資金を提供しました。

プロジェクトの優先事項が制定され、計画も立てられました。

A) 指導法を教授中心のものから生徒中心のものへ
B) 教師の質の向上
C) 生徒の能力評価
D) 国際基準を満たすためのカリキュラムのアップデート
E) 蔵書の増加
F) 科学的方法の看護過程を導入し看護教育および実践の指導(図2)

図2. Dr.Crow が2006 年にバクマイ看護学校の生徒たちに講義をしている様子
図2. Dr.Crow が2006 年にバクマイ看護学校の生徒たちに講義をしている様子

2007 年、Dr.Crow はベトナムナースプロジェクト副所長としてProfessor GregDeBourgh (EdD, RN, USF/SON)を採用しました。
2008 年、Associate professor のSusan Prior (EdD, RN) がそのプロジェクトのassociate director として加わりました。

私(Dr. Thuc)とCrow に続き、DeBourgh とPrion はBMNS の教授陣そして学生達と共に活動を行い、教授法を改善し、より国際基準に合うために、またベトナム人看護師たちと共に作業を行うため、引き続き米国から専門看護師に来てもらう等のカリキュラムの再設計を図りました。
カリキュラム再構築の目的は、バクマイ看護学校の看護教育プログラムを2 年から3 年にすることについて、ベトナム保健省および教育訓練省からの承認を得ることでした。

更に、バクマイ看護学校は病院技術者、研究室員、リハビリテーションスタッフのトレー二ングおよび能力開発の責任を担うことになりました。

バクマイ看護学校との共同作業に加え、Dr.Crow は2009 年にハノイメディカルスクール(An Khanh 看護学校)、ダンヴァングーメディカルスクール、そしてタンハン病院と共に働くことに同意しました。
2010 年、ベトナムナースプロジェクトは、ベトドク病院、国立熱帯病病院そしてベトナム看護協会との活動も始めました。以降、6 年の間、Dr.Crow は150 人以上の専門看護師、そして教授陣をベトナム人看護師たちとの共同作業のためハノイに送りました。(図3,4,5)。

これらの活動のお陰で、教科書内容、生徒中心の教授法、そして学生教授たちとの共同作業は進歩しました。
この発展の最も重要なことは、私(Dr.Thuc)とDr.Crow が常に確実に一緒になってベトナムナースプロジェクトの管理および指示を行ったことでした。

図3. 看護教育カリキュラムの共有
図3. 看護教育カリキュラムの共有

図4 Gregory DeBourgh が生徒に講義をする様子
図4 Gregory DeBourgh が生徒に講義をする様子

図5 Prion Susan がシミュレーショントレーニングをする様子
図5-1 Prion Susan がシミュレーショントレーニングをする様子

図5 Prion Susan がシミュレーショントレーニングをする様子2
図5-2 Prion Susan がシミュレーショントレーニングをする様子

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