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Vol.6 ベトナムと日本の架け橋をめざして 共に学び 共に生きる

Medi Legato

DO THI YEN

DO THI YEN
ド・ティ・イエン

Introduction

「人と人がつなぐ医療のかたち」
今回のメディカルコラムでは、ベトナムからの留学生のイエンさんのインタビューを日本語英語ベトナム語でお届けします。イエンさんは、ハノイ医科大学の看護学部を卒業後、日本で看護の勉強と仕事をしたいと希望し、2017年に単身で来日されました。彼女のひたむきな努力と、患者さんの為に役に立ちたいという熱意に心を動かされ、ぜひコラムでご紹介したいと考えるようになりました。
日本の大学や日本語学校に単身で留学し、その後、保健医療の専門家として働くことを希望する外国人の留学生は増加傾向にあります。
どの国にとっても、次世代の保健医療人材の育成は大きな課題です。
海外で学び、自国との架け橋を目指す為に努力を続ける留学生達と共働する中で、彼女達がより学びやすく、働きやすい環境づくりを、産官学連携で進めていくことの重要性を改めて感じます。
Medi Legatoでは、
・日本で保健医療を学ぶ留学生を対象にした奨学金制度
・ヘルスケアに関わる企業様向けのインターンシップ、共同研究
・母国の先輩による相談受付 等
保健医療の課題解決と架け橋を目指して、グローバルで挑戦する学生と若手研究者を、様々なプロジェクトを通じて応援します。
留学生のインターンシップや事業所見学など、ご賛同頂ける団体・企業の皆様からのお問い合わせもお待ちしています。
株式会社Medi Legato 代表取締役CEO 廣瀬 園子
email:hirose@medilegato.co.jp

Interview
1.ベトナムで看護学校を卒業されましたが、看護の道を選んだ理由を教えてください。

私は子供の頃から人のお世話をすることが好きで、いつしかそれを仕事にして生きて行きたいと願うようになりました。 看護師はいつも患者さんに寄り添い、医師と患者さんのそばでケアをするのが仕事です。そこで私は迷うことなく、ハノイ医科大学に進学して看護師を目指すようになりました。

2.ハノイ医科大学に通っている時に国際医療福祉大学で国際交流のイベントや研究に参加なさったと伺いました。どのような内容でしたか。また、なぜ参加しようと思いましたか。

大学の最終学年の時、日本で看護をもっと学ぶ為に留学の機会があることを知りました。日本の医療や看護を学ぶ為に、奨学金制度を利用するのはよいチャンスだと考えました。将来的に日本に住んで働くことができるかどうか、留学を契機に決めようと考えました。
短期留学の際には、教授から病院の人事制度、医療を取り巻く現状、少子高齢化など、レクチャーを受けました。また、先生と在学生たちと一緒に、医療スタッフと患者の役に分かれて、ロールプレイをしました。
車椅子で患者さんを移動する方法や寝たきりの患者さんの位置交換の仕方や、ベトナム、タイ、台湾ではどのようにするかなども日本の先生と話し合い、とても有意義な時間を過ごすことができました。

3.日本に留学した理由を教えてください。

私はハノイ医科大学に進学した時から看護師になることを目標に頑張ってきました。
大学で勉強している間に2回海外のシンガポールと日本の医療分野を体験したチャンスを頂きました。
短期の留学ではありましたが、シンガポールと日本の医療現場を拝見し、やはり患者さんの病気にじゅうぶんに対処できるように、最新の医療サービスを学びたいと考えるようになりました。日本のような医療分野において高度に発展した国で学びつつ、その後も引き続き患者さんのケアに関する専門能力とスキルを高めて行きたいと考え、日本への留学という道を選びました。

4.日本語を勉強していて、楽しいこと、難しいことはどんなことでしょうか。

大阪日本語学校学院において2年間日本語を学び終えたばかりです。
外国人にとって一番難しいのは漢字です。私も例外ではなく、漢字が覚えられるようになるまで、何回も何回も書かなければなりません。長い時間をかけて覚えた漢字も、書く機会がないと、読むことは出来ても、そのうちに書けなくなってしまいます。漢字は一種類の読み方ではなく、何種類もあるので、テキストや新聞などは、漢字がわからないとどんな内容かまったく理解できません。ですから、漢字を理解することは一番のチャレンジだと思います。
その一方で、日本語を勉強すれば勉強するほど日本語の美しさに段々興味がわくようになってきました。単純な日本語を学習しているだけではなく、上級の日本語、謙譲語、尊敬語などです。日本語が分かるようになってくると、困ることも少なくなり、特に日本人と話せるようになりました。日本の人々がいろいろなことを教えてくださるので、両親と離れていても、楽しんで生活しています。

5.現在の仕事と日本でこれから取り組んでみたい仕事はありますか?

現在、大阪府内の病院で事務職兼通訳者として仕事をしています。
仕事の要求に応じて高いレベルの日本語が求められています。まず, 日本語を習熟することが大切だと思います。
このきっかけで医療専門語に接して少しずつ勉強しようと思っています。
日本での看護師として活躍する夢と、日越の架け橋になるために努力しております。

6.日本で看護や介護の仕事をする上で、困難だと思うことは何ですか?

困難だと思うことは言葉の壁だと思います。
言語が違うので、相互理解の障害になることが多いと思います。
人間に関する仕事なので、もっと慎重しなければなりません。自分の母国語でも分かりにくいことがあるので、日本語で理解することはとても難しいです。患者さんに安心して頂き、患者さんの心を支えるために、コミュニケーションをとることが重要だと思います。
言語はもとよりに日本の文化にも気をつけることだと思います。失礼にならないように勉強しなければなりません。
また、看護師や介護士になったら、いつも責任を持ち、自分の知識も更新しないといけないので、ストレスがたまるかもしれません。家族との時間や自分の時間も少なくなり、夜勤も入るし、仕事を本音で愛していない人は本当に苦しいと思います。
でも、私にとっては患者さんの笑顔を見ると、どんなに苦しくても、永遠に仕事したいような気持ちになります。

7.就職を前に、私共へ相談にいらっしゃいましたが、その時はどんなことに悩んでいたのでしょうか。相談をして良かったと思うところはどんなことでしょうか。

私は日本に来る前に、廣瀬先生のSNSで友達になりました。本当は何回も何回も、日本への留学や、日本で看護を学ぶことなどを相談してみようと思いましたが、勇気が出なくて何も聞けませんでした。日本に来て、1年ぐらい日本語を勉強した後、日本語が分かってきたと同時に私は日本の看護の勉強がどのぐらい難しいかが分かり、絶望的な気持ちになりました。そこで、日本での進路について、一度アドバイスをいただきたいと思い、昨年夏に必死で先生にメッセージを送りました。先生と相談したら、将来の光が戻ってきました。私の日本語が下手で言いたいことが分かりにくくても、私の事情を分かってくださいました。おかげで、私は病院の仕事を始めることができました。先生に知り合えて、私は運が良かったと思っています。

8.日本語を学び、保健関連の仕事に就くために、日本への留学を希望するベトナム人の後輩のみなさんにメッセージはありますか。

日本は人材不足や少子高齢化という深刻な状況を迎えています。どんな分野でも人材を求めており、特に保健分野の仕事としてベトナム人への求人の多くは看護師と介護士です。
まず、みんなさんに理解していただきたいことは、日本の看護師と介護士の仕事は違います。ベトナムで仲介業者が使っている宣伝コピーの言葉は正確でないケースもあります。介護士は、主に老人ホームやデイサービスなどの施設、あるいは在宅で支援を必要としている利用者の自宅に出向いて介護に関わる仕事全般を行います。
具体的には、着替えの介助、食事介助、排せつ介助、入浴介助、口腔ケアなどを行います。施設で働く場合にはレクリエーションを行うことも介護士の仕事です。無資格で働ける仕事もあり、働きながら資格の取得を目指すこともできます。日本の看護師や、介護士(介護福祉士)には、全国共通の国家資格があります。
日本で看護師になるため、外国人に対していろいろな厳しい条件があります。
また、将来日本で保健の仕事に就きたいと考えるのであれば、日本に留学すると決めたときから日本語の勉強に専念してください。
最後に、日本に留学することは簡単に決めるのではなく、真剣に考えて、日本で保健の仕事をしているベトナム人や信頼できる人に相談し、正確な情報をもとに、自分の夢や希望に沿って歩んでください。そうすれば、どんな苦しいことに会っても、乗り越えられます。みなさんのご成功と幸せな生活を願っています。私も日本でお待ちしています。
質問や悩みがあれば、遠慮なくご連絡ください。
連絡先 email:project@medilegato.co.jp

外国人専門職をめざす留学生の育成には、結婚や出産も含めた彼女たちの長期的な人生設計やキャリアを支援し、将来的に母国にも貢献する架け橋となる人財を育成する姿勢と施策が必要となります。
私たちは産官学の専門家の皆様と共に、個々人に寄り添った、きめ細やかなコンサルテーションとサポートを行い、医療とヘルスケアで人と社会に貢献する人々と、国境を超えた課題共有と共働に努めてまいります。

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